鉄柵に脚をかけて 身を乗り出そうとジタバタもがいている男子が目に入った。
向こうも足音に気づいたのか、 振り向いたところで目が合ってしまった。
「こんにちは」
挨拶したのは、 ほかに台詞(せりふ)を思いつかなかったからに過ぎない。
kisermini 男子は固まってしまった。
そのまま通り過ぎるのもお愛想無しかな、 と思ったので、
近くに行って
kisermini br /> 「気持ちの良い風だよね。 やっと眠気が覚めた。
何か面白いものでも見えるの?」
当たり障り無く 世間話でお茶を濁し、
穏やかな日常に埋没しようと話しかけたら…… キレタ。
「き、君は、 僕の深遠なる不幸を、
kisermini
鬱勃たるパトスを 嘲(あざわら)いに来た悪魔か」
気に障ることが有ったらしい。
一个微小心愿
ここはひとつ 謝って撤退しよう。
座右の銘は、 世渡り上手だ。
nicbeer's blog
「ごめんなさい。 そんなに ご大層な者ではありません。
失礼しました」
踵を返そうとした時、 さらに激昂したらしい男子は つかみかかってきた。
「ぅぅううううう…… 何しに来たんだ!
ぼ、僕の、 大いなる絶望は…… 何処だあ。
ううう……うううううう」
唸り声と 私を引っ張る力が増してゆく。